「行動活性化」シリーズでは、新型コロナウィルス感染症の影響からこれまで通りに日常生活を送ることが難しい日々が続くなかで、こころの元気を保つための方法について紹介しました。
以下にポイントをまとめたので、ぜひ実践してみてください。
こころの元気を保つための方法実践のポイント
- 自分の行動パターンとその結果とのつながりを整理する
- 自由な発想で「『3つの密』に該当しない安全な活動」をリストアップし、その中から少しでも楽しさや達成感を感じられそうで、実行しやすそうなものを選ぶ
- 選んだ活動について具体的に実行計画を立て、実際に試してみる
なかなかリストアップが難しいという方はこちらの記事 – 「3つの密」に当てはまらない「安全な活動」を考えてみよう」 – を参考にしてください。行動プランの作り方についてはこちらの記事 – 自分だけの行動プランを作ってみよう – でご紹介しています。
行動計画を実行するときのポイント
ためしにやってみる
「行動を試して、結果を確認する」ことがこの方法のねらいです。今と同じ行動パターンを続けていると基本的には今と同じ結果が続くことになりますが、今と違う行動をためしてみれば今と違う結果が得らえる可能性がある、という点が特に重要です。
取り組みを次に活かす
広い意味で「この方法には失敗が無い」というのも重要な点です。
選んだ行動を試してみて、狙い通り楽しさや達成感が感じられればもちろん成功ですが、もし思ったほど楽しさや達成感を得られなかったとしても、何もしないよりはこころの元気が回復することも多く、またこの経験を踏まえて次の行動に活かすことでもっと楽しさや達成感を感じられるような行動ができるようになります。
また、もし計画した行動を実行できなかったとしても、「どうして実行できなかったのか(何が障害になっていたか)」という視点から行動計画の改善ポイントを振り返り、次に活かすことで、こころの元気回復につながる行動ができるようになります。
最初はなるべく簡単に実行できそうな行動を選ぶ
この方法では「実際に行動を試す」ことを重視しているため、今の自分の余力に合わせて無理のない範囲で実行可能な行動プランを立てることも大切です。
リストアップされた行動の中から複数を選ぶ場合は、なるべくタイプの違うものを入れるようにして、そのうちの1つはなるべく簡単にできる行動を選ぶようにしましょう。
行動活性化技法について
行動活性化技法は、ゆううつ感や不安感、ストレスなどの心理的な症状の改善に確かな科学的根拠のある心理療法の1つです。
行動活性化技法はうつ病の治療や予防に用いられる主要な技法で、新型コロナウィルス感染症の影響による心理的なストレス症状の改善に効果が期待されています。行動活性化技法の医学的根拠についてより詳しく知りたい方は、科学的根拠についてをご覧ください。
<参考資料>
この記事の内容は、以下の情報をもとに作成されています。
・厚生労働省. 3つの密を避けましょう.
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000614802.pdf
・Martell CR, Addis ME, Jacobson NS. Depression in Context: Strategies for Guided Action. 2001. New York: W. W. Norton & Company (熊野宏昭・鈴木伸一 (監訳). うつ病の行動活性化療法: 新世代の認知行動療法によるブレイクスルー. 2011. 日本評論社)