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こころの健康のための身体活動 ~入門編~

身体活動

新型コロナウイルス (COVID-19) の影響で、世界中で普段通りの生活を送ることが難しい日々が続いています。

自宅で1日を過ごしたり、在宅勤務をしたりすることで、身体を動かす時間が大きく減ってしまいました。環境の変化にともなって「身体が重くなってきた」「気分が晴れず、寝付けない」といった不調を感じている方も多いのではないでしょうか。

会社員の田中さんの事例をご紹介します。

事例:在宅勤務を始めて2週間が経過した田中さん (40代 男性)
田中さんは、東京都内のITサービス企業に勤めています。東京都で非常事態宣言が出てから、企業の方針で自宅での勤務を行うことになりました。慌ててPCやネットワーク環境を整え、現在で2週間が経過しました。最初は新鮮だった自宅での勤務も、気持ちの切り替えや集中力の維持が難しく、いつもより何となく落ち着かない感じです。自宅から出ないせいか、最近体重や体脂肪率も増えてきました。これまでは家で仕事をしたことなど一度もなかったので、娘の学習机を借りて作業をしていますが、机と椅子が合わず、肩や腰も疲れやすい状況です。寝る時間になってもうまく寝付けず、眠りが浅い日も増えてきました。

田中さんのような状態の解消には、身体活動が役立つかもしれません。

ここでは、新型コロナウイルスの感染拡大に正しく気をつけながら、今よりちょっと活動的な毎日を送るためのコツをご紹介します。

身体活動とは?

身体活動という言葉は普段あまり使わないかもしれませんが、座って安静にしている状態よりも多くのエネルギーを消費するものであればなんでも身体活動です。

例えば、料理、洗濯、掃除、子どもの世話、通勤・通学、散歩、階段昇降などが含まれます。立つことも身体活動です。

この中で、体力の維持・向上を目的に、計画的・意図的に行われるものを特に運動と呼びます。運動には、ジョギング、ランニング、サイクリング、テニス、水泳、その他スポーツなどが含まれます。

身体活動の効果について

身体活動の水準を適度に保つことは、身体の健康だけでなく、こころの健康に対しても多くの効果があります。

    • 気分の落ち込み (抑うつ) を予防・改善できる
    • 不安な気持ちを予防・改善できる
    • 生体のリズム (サーカディアン・リズム) を整えて、質のよい睡眠をもたらす

どれくらい身体を動かせばいいの?

なるべく自宅で過ごすよう要請が出ている中で、どれくらい、どのように身体活動を行えばよいでしょうか。年齢別にポイントを見ていきましょう。

1) 全ての世代
まずはプラス10 (テン) を心がけ、今より10分多く身体を動かすことを目指しましょう。家の中やその周辺で、人と人との距離を十分にとって身体活動を実施しましょう。

2) 幼児期 (1~5歳くらい)
毎日、合わせて60分以上、楽しく身体を動かしましょう。家の周辺を家族と一緒に散歩するなどして、家族みんなで健康を維持しましょう。ただし、公園に行く場合は、他の人が触っている可能性がある遊具は触らないようにしましょう。

3) 6~17歳
1日60分以上の身体活動を目指しましょう。家の中でテレビや動画を利用して身体を動かしたり、屋外で他のこどもと接触が少ない活動をしたりしましょう。ただし、公園に行く場合は、他の人が触っている可能性がある遊具は触らないようにしましょう。

4) 18~64歳
1日60分、元気に体を動かすことを目標にしましょう。家の掃除、買い物の行き帰りなど、生活の中での活動を見つけるよう心がけましょう。

5) 65歳以上
1日40分、ゆっくりでもいいので体を動かしてみましょう。座りっぱなしを避けて、家の周辺で人が少ないところを散歩したり、ラジオ体操やテレビ体操などを活用したりしましょう。

外に出て身体を動かしてもいいの?


日本では、屋外での運動や散歩などは生活の維持のために必要なものとされていて、外出の自粛の対象とはなっていません (2020年5月1日時点)。家の周辺など屋外で散歩をしたり、ジョギングをしたりすることには問題はありません。ただし、自らの感染や感染の拡大防止のために、周りの人との距離 (2 メートル以上) を保つように注意しましょう。また、なるべく人の少ないところを探して実施しましょう。活動中にはマスクを着用したり、首から口元を覆ったりして、周囲の人に対して感染を拡大しない意識を持つことも大切です。

公園などで身体を動かす際には、他の人が触れる遊具などには触らないようにしましょう。また、外出中には顔には触らないようにしましょう。ウイルスが付着した手で目、鼻、口などを触ると、感染の危険があります。どうしても顔に触れたい場合には、手を洗ってからにしましょう。帰宅したらすぐに手を洗うか、あるいはアルコールによる手指の消毒を行いましょう。

発熱や咳などの症状、だるさや息苦しさ、体調不良がある場合は活動を控えましょう。

まとめ

「こころや身体の健康のために身体活動が大切だということはわかったけれど、具体的に何をすればいいかわからない…」という方のために、次からは自分に合った身体活動を見つけていただくヒントをお伝えしていきます。

まずは、普段あまり身体を動かす習慣がない方向けに、「自分にあった身体活動の探し方をしてみよう〜初心者編〜」をご説明します。

普段から運動をしている方は「自分にあった身体活動の探し方をしてみよう〜上級者編〜」をご覧ください。

 

<参考文献>
この記事の内容は、以下の情報をもとに作成されています。
・厚生労働省. 健康づくりのための身体活動基準 2013.
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002xple-att/2r9852000002xpqt.pdf
・厚生労働省. 健康づくりのための身体活動指針 (アクティブガイド).
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002xple-att/2r9852000002xpr1.pdf
・日本運動疫学会プレスリリース. 日本運動疫学会は、新型コロナウイルス感染症対策の外出自粛要請にともなう身体活動不足や座りすぎによる健康被害を防ぐために、家の中やその周辺において人と人との距離を充分にとって実施する身体活動を推奨します.
https://www.zaikei.co.jp/releases/989057/
・Altena E, et al., Dealing with sleep problems during home confinement due to the COVID-19 outbreak: practical recommendations from a task force of the European CBT-I Academy. J Sleep Res. 2020. doi: 10.1111/jsr.13052. [Epub ahead of print]

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