マインドフルネス入門ではマインドフルネスに関する基礎的なお話、身体と気持ちはつながっているでは身体の感覚に注意を向けるワークをご紹介しました。
今回から、いよいよ応用編のマインドフルネスのワークをご紹介していきます。
マインドフルネスの基礎と応用
マインドフルネスのワークには、基礎編と応用編があります(図)。
基礎編は一点集中型のマインドフルネスのワークです。
上記の2つの記事で紹介してきたような、呼吸だけに注意を向ける、身体感覚だけに注意を向ける、というようなひとつの対象に集中するワークです。
マインドフルな体験のしかたというのは、すぐに体得するのは難しいので、まずは、呼吸だけ、身体感覚だけ、と対象を絞ってシンプルに行うほうがやりやすいのです。
特に、呼吸は私たちが途切れることなくしている活動なので、自然と「今ここ」に注意が向けられるので、最初に取り組むワークとしておすすめです。
ただ、目指すのは、普段の生活の中でもマインドフルでいられるようになることなので、応用編のワークも紹介していきたいと思います。
テニスでいうと、筋トレなどの基礎トレーニングから、まずは練習試合をして、実地トレーニングに出るようなイメージです。
応用編:観察瞑想 -セルフ・ナレーション-
観察瞑想のひとつとして、今回は、セルフ・ナレーションというワークを紹介します。
私たちは普段、いろいろなことを考えたり、感じたりしています。
次々とわき起こる「思考」、「感情」、「身体感覚」、「行動傾向」、「記憶」の5種類に注意を向けて、ラジオの実況中継をするアナウンサーのように自分の状態をナレーションしていく方法です。
具体的には、5種類について、次のようにナレーションをします。
→「私は~と考えている」、「~という考えが浮かんでいる」
例:「私は『やることがたくさんありすぎて困る』と考えている」
「私には『疲れたから早く休みたい』という考えが浮かんでいる」
→「~という気持ちがある・感情を感じている」
例:「私には、心配な気持ちがある」
「私は腹が立つという感情を感じている」
→「○○に~という感覚がある」
例:「足に痛みの感覚がある」
「手に冷たいという感覚がある」
→「~したいという行動傾向がある」
例:「立ち上がって歩き回りたいという行動傾向がある」
「水を飲みたいという行動傾向がある」
→「私には~の記憶が浮かんでいる」
例:「私には、小学校の頃、家族で食事をしていたときの記憶が浮かんでいる」
「私には、先週の打ち合わせでの様子が浮かんでいる」
10分ほど時間をとって、自分の今の状態を実況中継してみましょう。
どんな思考や感情が浮かんでも、「いい・悪い」といった評価はせずに、そのままナレーションして、ただ観察します。
最初は、集中しづらかったり、難しく感じるかもしれませんが、何度か試すうちに、少しずつ慣れていきます。
まとめ
いかがでしたか?
紹介した観察瞑想のワークのほかに、「思考」、「感情」、「身体感覚」、「行動傾向」、「記憶」の5つの視点で1日を振り返る日記を書く方法もおすすめです。
その場で自分の感情に気づくのは、はじめは難しいものですが、少し時間が空いてから振り返ると、「あのとき不安な気持ちになったのは、こんなふうに考えていたからだな」、「相手に怒鳴りたくなったのは、あんなことを言われて腹がたったからだったんだ」と落ち着いて分析することができます。
これを繰り返していると、少しずつ、自分の状態に気づけるようになるまでの時間間隔が短くなっていきます。
この積み重ねで、普段からマインドフルな注意の向け方ができるようになっていくのです。
次回は食べながら行うマインドフルネスをご紹介します。